非暴の境界条件
―LV1プレイヤーはどこまで行くことが出来るのか?―

(※本記事は気分的にCSSの拘束を解いている仕様です。)



8、 アジアをめぐる冒険(後編)


そう、はるかなる天上から下界を脅かす、
文明の利器たる汎降下専用足場式飛行型決戦兵器
――通称、「気球」(气球)である。


(隠しポータルの位置)




どうもバーナー部分に火が見えないのが気になるが、まあ浮いていれば良しだ。
球皮(エンベロープ)部分のセンス無き色使いも、この際目をつぶろう。

ビクトリアアイランドにあるタクシーなどと比すれば、マップとの同調性は比べるまでもなく気球が上だ。
レベル1キャラであっても、気球に乗っただけで、歴戦の勇士に見えてくる。

さて、この気球からは、

・中原山岳地帯2
・西州平原2


へと進む(ワープする)ことができる。




・中原山岳地帯2の場合、運が良ければ、気球から降りた瞬間死ねる。

これは西州平原2も同様であり、



鬼湧き状態の巨大牛の群れが、手ぐすねならぬ、からすきを曳いて、待ち受けているのである。
この西州平原2の湧き方は尋常ではない。

私も落ちるが、墓も落ちる。(我也掉下、坟也掉下)。


だが、西州平原2には、西州平原3へ続く道 が用意されてる。
一応、挑んでおこうか。
この先の世界を見るために。




ポイントはなるべく左端から左キィを押しつつ飛ぶ ということ。
この際、少し手前から走り幅跳びをするような感覚で。



運が良ければ第一降下ポイント(すなわち最上段左端)に牛が居らず、代わりに落下ダメージを受けることができる。
この無敵状態を利用して、さらに、すばやく最下段へ降下。
次のマップへいくことができる。
ペリオン編で紹介した、いわゆる「ラッキーヘブン」というやつだ。

もっとも下段にもカプリコをはじめ荒々しい家畜たちがワンサカいる場合があり、到達の可能性は、かなり低い。



それでも粘って降下を繰り返し、やっと西州平原3までたどり着いた。

……わけであるが、
3へのポータルをくぐった瞬間、カプリコと短角牛の待ち伏せに遭うという荒すぎる演出。
そして、ビビってワラへと逃げる途中、背後をやられ、この有様。

やはり、荒々しいぜ、上海。
さすが農業大国の家畜は一味違う。(到底是农业大国的家畜别有风味)。
(なお、湧きの少ないマップではもう少し楽に到達できるかもしれない)

しかし上海は気球のおかげで、かなり奥地まで分け入ることができた。



V.台湾、都市化の代償



近代的なビル群を見上げる。
この町はアバタ無しを貫く私にとっては少なからず居心地が悪い。

自称スーパーアイドルアンニン氏
人の好みはそれぞれではあるが、この顔ある意味、神かがっているとさえ言える。
ドット絵が、はめ込み合成のように細かく丁寧に作られているだけに、合わない人には本当に合わない。

「こんにちわ。私はスーパーアイドルのアンニンと申します。」
のっけから、通行人に対して、このセリフ。
やはり神がかっている。

「アンニンというNPCはアイドルである」という予備情報を持たずに出会ったプレイヤー
――すなわち、かつての私であるが――は、
少なからず「ああ、エライところに来てしまった」と思うに違いない。

そんなことを予感させる名物NPCである。

ちなみに話は少し変わるが、
画像上の信号機に表示されている「4」という数字は「16」から高速で減数していき、
数が尽きると信号機が変わるという仕組みである。

適当に撮ったSSながら、「4」とは……、「死」を暗示しているように思えてならない。

さすがはアンニンだ。

彼女が支配下におさめる子犬も、
「アンニンは荒々しい家畜の中で日々を過ごすテイフおじさんの孫娘である」
という設定を知れば、きっと見る目が変わる。

さらに歩くと台湾3大NPC (勝手に指定)の残りの2人、イエリッキー、パーピンの両氏にも遭うことができる。

 

これだけ並べてみると、パーピン氏がやや粗く、浮くように見えるが、ワールド全体を見渡せば、彼も十分に精緻な部類に入る。

イエリッキー&アンニンの両氏の方がマイノリティなのである。
イエリッキー氏と並ぶと、もはや、というかまさに別世界(≒別ゲーム)の住人である。

もしも、無害なアバ無しオウルアイ装着済みプレイヤが並んだら、システムエラーを起こしそうな勢いですらある。



ショカツ氏やラン氏が同マップにいるだけに、このドット格差は壮絶である。
(というかこれは同マップに並べてはいけないレベルのドット絵である)。

都市の格差は目に見えて恐ろしい。

ちなみにパーピン氏の愛車はAE86型スプリンタートレノ(通称ハチロクとして有名なトヨタ車)と思われるが
台湾でも人気があるのだろうか。まあどうでも良いことだ。



さて、この台湾、かなりの新出モンスターが登場する。
そして、ジョンという例外を除いては、すべてオーバーキラーである。

このジョン という西町門街付近をうろつく犬型MOBは、
例のバブルリングのように被ダメ値が49〜52であり、
49の場合に、オーバーキラーにならないという条件付き型オーバーキラーである。

もっともジャンプによる回避のみならず、次の画像のような仕掛けもあるため突破自体はたやすい。
ためにバブルリングのように壁的な境界条件にはならない。

・西町門街1〜3


西町門街1&2はそれほど突破は難しくない。
道の各所にエスケープポイントが施されているからである。

 名前  LV  物理攻撃力   被ダメージ 
 ジョン  23  80  49〜52
 眼鏡犬  25  85  55〜59
 カイザー  42  140  155〜163
 ピエロルーパン  40  120  113〜120
 バイクゾンビルーパン  47  150  180〜188

眼鏡犬も実質的にはジョンと大差はない。
大抵こちらに向かって走ってくるので交差気味に十分に飛び越えできる。

ところで、この眼鏡犬は、
西街門街3にいるパーピン氏が良くグラサンを失くすから眼鏡犬を殺して集めてきて欲しいという
非常に浅はかで、得心いかない理由のために、大量に虐殺される存在である。

さすが、自称イケメンのパーピン氏、荒々しい家畜ですら一瞬で凍りつくような恐ろしい発想である。

鶏と卵の寓話のように
いったいパーピン氏がいるから眼鏡犬がいるのか、眼鏡犬がいるからグラサンクエストが存在するのか

これは無知な私には皆目検討のつかないところではあるが、この近代化された都市にあって、眼鏡犬という存在を鑑みるに
その生誕の影に、不遇がストーリィが潜んでいそうな、そんな悲しさを感じさせるモンスターであるような気がしてならない。


・西町門街3→4&5

 

ゴミ捨て場を求めて都市に住み着くカラスは頭がいい、ということをしばし耳にする。

そのカラスよりも脳の容量が大きいサルが都市部に住み着いたとき
そこに待っているのは、人類にとっての悲劇である。ビバ・アーバンライフ。

グラサンで駆けまわる眼鏡犬は虐殺され、ハーレーにまたがるサルに人は轢かれる。

バイクゾンビルーパン。

エライところに来て、エライものに遭ってしまった。



・夜市場方面


さて、夜市場方面へ行くためには西町門街3の上側ポータルを通る必要がある。



ここが意外に難所である。
上図のようにカイザー が1匹なら給水タンクを利用して進むことができるが
2匹以上いるとポータルが左端にある都合上、ほぼ通行不可になる。
(カイザーが「ウーウー」と静止して威嚇している際にタンクへ駆け寄る)

通行は湧き運次第である。


夜市場街4─夜市場街3─夜市場街2─夜市場街1─夜市場─夜市場道2─夜市場道1←西町門街方面
       │
       └─夜市場分かれ道1─夜市場分かれ道2

西町門街側から夜市場を目指すという初期ルートの場合、
夜市場道1&2の入り口ポータル付近にカイザーorピエロルーパンがつっこんでくるので注意が必要である。



これさえ気をつければ、屋台の上を八艘渡りして、先を目指すことができる。



ちなみに夜市場から夜市場街の奥へ進む場合も同様である。

この段差を利用して先に進むという方法が、台湾マップ中かなりの割合で可能なため、
一度、足場さえ確保すれば、アジアンマップの中では最も奥地まで到達できるのである。

それゆえ、





夜市場街4にある自称台湾1の人気店 まで足を運ぶことができる。

しかし、この店、おそらく客は死に物狂いでくるのだろう。

それにしてもここ台湾は、自己主張が激しい土地柄のようである。

さて、夜市場方面で新出のモンスターを確認しておこう。

 名前  LV  物理攻撃力   被ダメージ  
 バブルティー(3色)  38  120  113〜120
 クレーンゲーム機(キノコ)  60  160  204〜212
 イエティクレーン機  50  175  248〜256
 ジュニアぺぺクレーン機  50  175  248〜256

もはや愛情過多(オーバーキラー)なのは言わずもがなであるが
このうち、クレーン機は飛び越え不可の、まさに不動の壁である。

上段に足場を確保できない場合に、この死の遊具が1体でも設置されているだけで、先に進めないことが確定する。




代表例が、夜市場分かれ道1
前半に足場のないこのマップからは、まず先へ進めない。

ゆえに分かれ道2には到達できていない。

ちなみに夜市場道3も同様にクレーン機により進めない場合がある。



一時期、公園などにある遊具の安全性の見直しが図られる動きがあったが
このクレーン機もいずれ撤去されるかもしれない。

クレーン機で接触死したら、私の灰はペリオンの大地へ撒いて欲しい。




ところで、
以前、リボンピグのリボンは誰が結んだのか?という壮大な疑問をもったことがあったが
この屋台が推定の材料になりそうである。少し妄想してみよう。

まず、この屋台の看板 から、非常に野蛮で悲哀に満ちた事実を推定できる。
――すなわちピグは食用にされていると考えられる。
こんなことだから我々人類とブタはすれ違い続けるのだ。

J.S.ミルは「満足した豚よりも満足しない人間であるほうがよい」などとノタマッテいるが
ブタ=肥えている=満足をしている、という比喩表現における安易な初期設定から内省をはじめるべきだ。

だが、ここでリボンピグが通常のピグよりも「強靭である」という事実を
「健康である」=「食用として美味」であると、論理を無思慮に飛躍させて措定するならば

その選別、すなわち健康で美味なピグを選別する主体は、人間 ということも推定できる。

品種改良を繰り返し良質な仔ピグにリボンをつけて放牧するのか、
あるいはある程度生育した段階で選別をするのか、は定かではないが、

いずれにせよ、人間がピグ選別のマーキングとして、赤いリボンをつけているということを推定できる。

(推定、推定と論理を飛躍することが中々許されない日常にあって、この行為は少しくカタルシスを得られるような気がする)

だが、こうなると既存クエストとの間に特に少なからず齟齬が生じる。
ピグのリボンは「Mrs.ミンミンの悩み」をはじめ、マヤの収集イベントや、家出少年などのクエストでも必要とされるのだ。

しかし「人間が食用選別用に赤いリボンをつけている」と仮定するならば「赤いリボンの汎用性」が担保されなければならない。

選別用マーキングとして供される以上、「赤いリボン=ピグのリボン」は最低限、
業者レベルでは大量仕入れが可能な状態にあるという点が求められ、これが華麗なる(飛躍的)展開の桎梏になるわけだ。

つまり数々のクエストにおいて

「NPCがピグのリボン蒐集を”冒険者”に、”たよるかたち”or”ためすかたち”で、要求してくる」

という必然性に疑問符をつけざるを得ない。
これは美しくない。
どうもエレガントに展開しない。

食用マーキング説は成立しがたい といえる。


そこで僕は諦めたんだ。これくらいのことさえ理解できないとすれば、どうして僕なんかに神の事など理解できるのだろうか。
僕はおとなしく自白するが、僕にはこんな問題を解釈する能力がひとつもないんだよ、僕の知性はユークリッド式のものなのだ。
地上的のものだ。

                                              フョードル・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』より




まあ、誰かが答えを導き出すことを真摯に祈りつつ今回の旅を〆ようか。

※追伸
この記事を書いたのちにモンスターカードが実装された。
これにより、この謎の真実は、現在、白日の下に晒されている。


 

ピグが食用に供される、という点は少なからず推定のうちであったが、
ピグの世界に「序列」があるとは……しかもリボンピグが「貴族」にあたるとは……。
まだまだ、分からないことだらけである。


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さて、アジアンマップをめぐってきたわけであるが、
総じて言えることは、造りの良い部分と悪い部分の差が「見えるかたち」で混在しているということだ。

NPC、MOBそれぞれに力の入れ具合の違いがあるのは言うまでもなく、
町などにある細かい装飾・小道具・背景などが、かなり精緻に作られていると思えば、マップ構成自体が単純すぎたり
段差など複雑に構成されており冒険のしがいのあるマップだ、と思ったら、モンスターの様相や配置がそれを損ねていたり

メインワールドよりも優れている部分があるだけに、これは少し惜しい。

まあ、無いものねだり は、散々してきたことだし、今回はここら辺にしておこう。


ところで



いい加減、ログインのたびに表示される、このウインドウ、何とかならないものか。
モンスターが湧くマップなどでは、閉じている間に死んだり、致命傷を負ったりして非常に厄介である。

このために墓を築きあげるのは、何というかツライものがある。
いくら物覚えの悪い私でも、さすがにそろそろ覚えたのだが……。

と、在るものにケチをつけてみたり。



次回へ続く。


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