メイプル経験値概論A

増加率5.48%がもたらすアンニュイさ―4次職(LV120)から山に急に角度がつく―

さて、レベル50以降、増加率が5.48%に設定されていることは、我々にどのような意味(あるいはアンニュイさ)をもたらすのか。
確認するまでもなく、5.48%の増加率が維持されたまま、レベルが上がっていくということは
1レベル上がるごとに必要経験値が1.0548倍になるということだ。

本来、経験値という観点から、バランス性を保ったゲームシステムを構築する場合、レベル上昇ごとに課せられる必要経験値の増加率は、(レベル50までのように)レベル上昇とともに下げられていくことが常道である。

そう、1.0548倍する元の数値自体は(「増加」率がある限り)一方的に上り続けるのだから、本来、増加率はレベル上昇により新規に獲得される経験値効率性とゲームバランスを加味して、設定されるのが普通なのである。

が、メイプルではらかにある一定以上のレベル帯から、このバランスが崩れ始めアンニュイさが表出するのである。
この「ある一定以上のレベル帯」とは、レベル50前後のことではない。
筆者はスタート地点を大体120レベル前後とみている。

思い返していただきたい。または想像していただきたい。
一般的に、「レベル上昇によって得られる経験値獲得のための効率性」の柱をなすものは、
@AP振りによるステータス値上昇&レベル補正
A新規スキルの獲得及びスキル性能の向上
B新規装備獲得による上昇
であり、ここにレベル外として
C装備強化による上昇
が加わる。そして、これら要素の集大成として戦闘力が上がりD「次レベル帯の狩場移行」が可能になる。
狩場移行はオーバーキルによる不効率性を排除する行為でもある。

しかし、@を除く、これらの要素は200レベルまで段階的に用意されていない。
例えばもっとも明快なのはBであろう。
現在の仕様において、少なくともほぼ全職で4次転職すなわち120レベル程度(実際は110程度)に達した場合、この要素は頭うちになる。
またAについては、3次職までは段階的に上昇する傾向にあるが、4次職では、上限値10を過ぎたあとは、ブックによる値の上昇というシステムが採用されているため、少し変則的になる。もっとも効率を重視する場合、(当たり前であるが)効率に関わる主要スキルから上げていくというスタイルを採るので、効率の上昇率という意味では確実にその歩みを減速させていく。
Cについては、さらに早熟の場合が多く、そもそも「段階的な上昇」は望めない。
もともと「強化品」は高レベルの装備を素材に製作されることは少ない。メジャな強化素材は軍手、タオル、各種頭巾、冒険家のマント(桃・茶・黄、ほかにイカマン、着古マントなど高レベル品は不要)、アイゼン、各種イヤリング(高レベル品はほぼ不要)など、少なくとも3次職中に装備可能になるものばかりである。
ゆえにレベル100を超える強化素材は、ほぼ武器に限られるといっても過言ではない。魔法使い系の場合INT魔という育成が可能なため、さらに早熟である。

最後にDの移行すべき狩場自体が限られているという問題もある。
現在高レベル帯のメジャ狩場というと、「姫狩り」、「武器庫」、「残龍」、「壊龍」、「危龍」、「深淵海峡2」などがすぐに頭に上ることであろう。
「姫狩り」どは強化フルコースのランカー級&サクチケ有が効率を求めておこなえば、時給数十Mの世界である。だが、@以外が頭打ちになるため、次第にA〜Cが完成していくことに平行し、時給=経験値効率の「上昇割合」は緩やかに減速していく。すなわち、高レベルになればなるほど、レベルに見合った効率は現行得られず、該当レベルに滞留する時間が長くなるといえる。
改めて、レベルごとに必要な経験値をみてみよう。

(EXP)
(LV)

これはレベルごとに必要経験値を横に並べていったものであるが、100~120レベル帯前後より急激に必要EXP値が上昇している。増加率5.48がもたらすアンニュイさは、高レベル帯の現状と併せて考えると悪魔的ですらある。

そもそも@〜Dが段階的に用意されておらず、頭打ちが早期に訪れる現状は、ゲームを続ける「モチベーション」という極めて曖昧だが、本質的な問題に大きなマイナスの影響を与えている。

この「モチベーション」という点ではレベル120以降、他の要素からみても問題がある。
120レベル帯以降、該当レベルの滞留期間が長くなるにもかかわらず、残り80レベル間、「次職(5次職)」という長期的なモチベーション起爆剤も実装されておらず、また、「クエスト」という中〜短期的なアチィブメントも乏しい。4次職転職(120レベル)直後の頃、すなわち山に登りはじめた頃は転職の勢いもあり、アンニュイさは、それほどでも、まだ、ないだろう。だがこれが150、170となり、ランカー級が犇きはじめる帯に達したとき、あなたは・・・・・・。

一般人的な感覚をもってゲームを楽しむならば、せいぜい150レベル程度が限界であるのかもしれない。


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