人の目と企業タイアップ
2008年頭になり、ついにメイプルストーリーは累計登録者数200万IDを突破した。
サクチケを持たない私も恩恵に預り、経験値2倍キャンペーン(一般的というか飛び交う拡声器的には4倍という認識らしい)を1時間ほど満喫した。
人が増えれば、それだけ人の目が集まる。人の目が集まればそこに企業は広告を置く。
実際に「累計」の「ID」登録であるため、稼動プレイヤーは200万より少ないと考えられるわけであるが、それでも一つの区切りとして200万という数字は目を引くものである。少なくとも企業タイアップを持ち込む場合、あるいは持ち込まれる場合には、一つの宣伝文句にはなる。
この記事を書いている2008年2月現在、大規模な企業タイアップは二つある。
ひとつはロッテ。
そして、もうひとつはコカ・コーラ。
どちらも誰もが知っている大企業であり有名企業である。
両者とも「目玉アイテム」(タイアップアイテム
)が用意され期間限定という形でイベントが設定される。そして、ユーザーがタイアップアイテムを入手するためには、基本的に標記社の商品を購入し、そこで得たクーポンをゲーム内に還元する必要がある。
(この「期間」はゲームバランス(既存のクエスト・アイテムに対する)を考慮した期間というより、単に企業との契約上の提携期間と考えることが妥当であろう。)
以下タイアップの広告効果・方法についてアウトラインをみてみる。
タイアップ自体による広告効果
「タイアップ」それ自体が広告になる。 タイアップアイテムの性質について
@めいぽユーザーは日々情報を得るため公式ページを訪問しタイアップ企業を目にする。
Aイベント期間中はゲーム内でタイアップ・アイテムの名称(=企業の商品)が飛び交う状況になる。
Bゲーム外でノン・ユーザーが商品をみた場合、広告効果が生まれ、(NEXON社の)新規ユーザーとなる可能性を与える。
Cゲーム外でユーザーが商品を偶然に見た場合、メイプルのそれと分かる品装が施されており、提携社にとって副次的な広告効果がある。
⇒タイアップアイテムの必要/不必要に拘わらず、少なくとも提携社にとって広告効果を(設定上の最低レベルを)一律、ユーザーに及し、ユーザーは被広告者となる。またNEXON社ノン・ユーザーへの波及効果もある。
タイアップアイテムによる広告効果
・タイアップアイテムにより半永続的に広告効果が生まれる。
・タイアップアイテム名は提携社の商品名と同様のものであり、アイテム自体に広告性がある。
・タイアップアイテムには交換可能なものと交換不可能なものがある。
・タイアップアイテムは、希少性において
<A:装備品を始め極めて希少性が高いもの>
<B:消費アイテムなどAの残念賞的位置づけがされているもの>
<C:希少性が高いA(B)を入手するためにクエストで必要になるETC等>
の3種類に大きく分類される。
<A:装備品を始め極めて希少性が高いもの>
@タイアップアイテムの性能が既存アイテムを上回る場合
既存アイテムの性能を上回る場合、あるいは代替不可である場合(主にA)、ユーザーはタイアップアイテムを常に身に着ける格好になる。日々、タイアップアイテムを身に着けているため、使用ユーザーに対する効果のみならず、「歩く広告塔
」としてゲーム内の他プレイヤーに対しても、これは機能する。ユーザー視点から「歩く広告塔」を見た場合、特に交換不可アイテム・イベント開始直後の新規性がある場合、ビジュアル如何を問わず顕著である。
Aタイアップアイテムの性能が既存アイテムを下回る場合
タイアップアイテムには前提として入手限定性が付与されている。
これはイベントに期間が設けられているためであるが、この期間を過ぎても、特定のタイアップアイテムはゲーム内に半永久的に残る。タイアップアイテムの数量は、ユーザーのプレイ凍結(引退)・消費・売却(店売)・破棄等により、漸減していく反面、希少性を帯びていく。これによりタイアップアイテムの価格が高騰するケースがあり、そこに再び広告性が生まれる。
<B:消費アイテムなどAの残念賞的位置づけがされているもの>
<C:希少性が高いA(B)を入手するためにクエストで必要になるETCなど>
B上記B・Cに関する効果
場合によってはAの効果も得られる場合があるが、基本的にCは性格上、イベント期間とともに広告性を失い、インパクト・ファクタ自体も低い。ただしイベント期間中は一般ユーザーの視覚域に最も入りやすく、広告効果としての機能は十分に果たす。また、Aを獲得する過程を踏みながら達成に至らないユーザーが回顧的に存在を認識する場合もあると考えられる。
⇒タイアップ・アイテムの入手如何に拘らず、タイアップアイテムはゲーム内で半永久的に広告効果を保持し続ける。加えて@とAが相互に作用することで、ゲーム内における特定タイアップアイテムの重要性は高まり、さらに広告効果も高まると予想される。